プロの将棋は
日本将棋連盟の対局室や
ホテルや旅館で行われることが多く、
我々がその様子をこの目で見ることは困難です。
その中で
「朝日杯」「JT杯」といった「一般棋戦」は公開対局となっていて
観戦申し込みの後、抽選で選ばれると対局の様子を見ることが出来ます。
2023年1月15日
名古屋国際会議場の二号館3階の会議室にて
朝日杯のベスト16及びベスト8の公開対局が行われました。
立派な建物です。
タワー部を繋ぐ部分は展望レストランだそうです。
会場は、下の写真の「対局場」とプロの解説が聞ける「大盤解説場」の二つがあります。
勿論、対局場と大盤解説場は離れていて
対局者に解説者の話の内容が伝わることはありません。
管理人は、幸運にも対局場のベストに近い席をゲットすることが出来ました。
10時開始の第1局は、増田6段(先番) 対 永瀬王座、藤井5冠 対 阿久津8段の二つが
同時並行で行われました。
年配の男性で埋め尽くされているかと思っていましたが、対局場の前列は妙齢の女性の姿が多く少々驚きました。
対局時間は、「朝日杯」の場合一人当たりの持ち時間が40分ですから、
2時間から2時間半ほど。
対局場では、観客は声も音も出せずじっとしているだけですから、
将棋をよく知らない人にとっては、状況の優劣も分からず、ひたすら苦痛の時間になってしまいます。
藤井聡太5冠が妙齢の女性方のアイドルになっていると考えると前列に女性の観客が多いのも腑に落ちます。
プロの解説によって優劣が分かる「大盤解説会場」では
管理人が予想したように、年配の男性の姿が多く見受けられました。
この日の対局者4人が並んで挨拶をしています。
左から、永瀬王座、増田6段、阿久津8段、一番右側が藤井聡太5冠(竜王、王位、叡王、棋聖、王将)です。
第一局の藤井5冠と阿久津8段との対局は、
途中まで阿久津8段が好調で藤井5冠が対応に苦慮している様子でしたが
阿久津8段がちょっと油断した隙に、藤井五冠は一気呵成に逆転してしまいました。
対局場の様子です。
第一局 藤井5冠対阿久津8段
14時から始まった第二局の開始時の様子です。
第一局で阿久津8段を破った藤井5冠 対 永瀬王座を破った増田6段
局面は、真上から映しているビデオカメラの画像が大型モニターに表示されています。
勝敗が決した後、藤井5冠(右)と増田6段(左)が感想戦(両者や解説者・記録係も交えた反省会)をしています。
一時は必勝という情勢になりながら敗れた増田6段は悔しそうです。
藤井5冠絶体絶命の「受け無し」という状況が現れました。
増田6段の鋭い責めにより
藤井5冠は「王手の連続で詰ます」以外には勝てない情勢になってしまいました。
この日の藤井5冠は、対局中に何度も席を外すことがあり、体調不良という感じがしました。
「藤井5冠もこれまでか・・」と思って見てましたら、
藤井5冠は、増田6段の玉に対し王手を繰り返していきます。
「藤井5冠は勝負を諦めていない?」
それまで自信満々の表情に見えた増田6段も
次々と繰り出される藤井五冠の厳しくて悩ましい手に呆れた様子を見せ始め
対局場の中の雰囲気が次第に変わってきました。
藤井5冠の連続王手から増田6段の玉が逃げる隙に
藤井五冠は増田6段の攻め駒を外してしまい
絶体絶命の「受け無し」という状況を解消してしまいました。
これはもう「藤井マジック」としか言いようがありません。
対局場にいる殆どの人には勝負の優劣は分からなくなっています。
試合開始から2時間半が経過した頃
藤井5冠の逆転勝ちが決まりました。
藤井5冠は、第一局、第二局とも
必敗に近い状況から劇的な逆転を勝ち取りました。
更に、この日に放送された「将棋NHK杯」でも
佐藤天彦9段に逆転勝ちを納めたそうです。
一日で、逆転の3勝。
対局者の間に位置している記録係の方も
余りの密度の濃さにぐったりした様子でした。
この日に撮ることを許された画像を紹介していきます。
第一局の対局後に「大盤解説会場」に移った両対局者です。
こちらは第二局終了後の「大盤解説会場」で説明をする
藤井5冠と升田6段。
左端にいるのは、藤井5冠の師匠である #杉本八段
将棋のプロ達の頭の中は想像出来ないほど恐ろしく高いレベルです。
故米長永世棋聖が「兄達は頭が悪いから東大に行った。」と嘯きました。
その中でも、羽生永世名人、大山永世名人、中原永世名人、谷川永世名人などは飛び抜けた存在・天才と言われています。
藤井聡太5冠は、プロになってからの5年間、
そうした飛びぬけた名人を遥かに凌駕する成績をあげ続けています。
新しい記録のラッシュです。
オマケに将棋界最初のアイドル棋士になったような気もします。