満開の桜と水仙と子供たち。
エイプリルフールの日の午後の公園はとても穏やかでした。
前回の話の続きです。
ナルキッソスは他のニンフにも同様の仕打ちをしていました。
一人のニンフが「神様。ナルキッソスにも叶わぬ恋の苦しさを味あわせてください!」と祈りを捧げました。
義憤の女神「ネメシス」はこれを知って「ナルキッソスは許せない!」と怒りました。
或る日、狩りをしていたナルキッソスが水を求めて泉にやってきました。
ナルキッソスが水を飲もうとして顔を近づけた時、
鏡のように穏やかな水面に驚くほど美しい青年が見えました。
ナルキッソスは水面の青年に心を奪われてしまい泉のほとりから動けなくなってしまいました。
「僕が微笑めば君は微笑んでくれる。
僕が顔を近づければ君も近づいてくれる。
僕が涙を流せば君も涙を流してくれる。
なのに、触れようとしたとたん君は千々に乱れ消え去ってしまう。」
叶わぬ恋にいつしかナルキッソスはやせ細り、身体と命は消え去り、
そこには一本の水仙だけが残っていました。
「水仙」の別名は「雪中花」
「雪の下でも花を咲かせる春を告げる花」という意味だそうです。