帝国ホテルの歴史は1980年(明治23年)に始まります。
鹿鳴館(当時)に隣接する場所に、来日した外国人に応対し宿泊させる施設として、渡辺譲の設計により木造3階建ての初代帝国ホテルが開業しました。
それから四半世紀後、新館設計検討が著名な建築家フランク・ロイド・ライトとともに開始され、1916年(大正5年)には新館設計の契約が締結され1919年(大正8年)9月に2代目帝国ホテル建築工事が着工されました。
工事期間中に、初代帝国ホテルの失火全焼(1922年)や、ライトの度々の設計変更による工事費の大幅な増大など何度か工事継続の危機が訪れましたが、
関係者の大変な努力により着工から4年後の1923年(大正12年)7月に完成しました。
1923年9月1日午前11時58分、関東大震災が発生し、
東京、神奈川は甚大な被害を受け、多くの建物が倒壊し焼失しました。
しかしながら、ライト設計の2代目帝国ホテルはこの大地震に耐え、
また、玄関正面の池の水を利用して火災も最小限に抑えることができました。
その後、太平洋戦争に空襲により大きな損害を受けましたが接収したGHQにより復旧され、三代目帝国ホテルが新本館が開業する前の1967年11月に、ライト設計の二代目帝国ホテルは歴史の幕を閉じました。
2代目帝国ホテルの建物存続の構想は幾つかあったようですが、
最終的に、玄関部が1976年(昭和51年)から1985年(昭和60年)にかけて博物館明治村に移設再建されました
こうして多くの人が現在も当時の建築物を目にすることができるようになりました。
正面から見た二代目帝国ホテルの玄関と玄関全面の池の画像を再掲します。
『豊饒の海』第1巻「春の雪」の中でも帝国ホテルが登場します。
シャム国(タイ)から来日した王子たちが学習院中学に留学、学習院の寮で生活していたのですが、
大切にしている指輪が紛失したことを契機に王子たちは寮を出て帝国ホテルに居を移します。
ただ年代設定を考慮すると、二代目ではなく初代帝国ホテルということになります。