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レールの行き先は?≪#25≫ 「謎多き路線」 ―分離してしまうのか ―

 

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  (城北線を走る列車の車窓から撮影)

 

左のレールは下方向に、右のレールは上方向に

行先を違え、分かれていく

 

都市部を走る謎に包まれたローカル線

 

 

JR東海道本線枇杷島駅から中央線の勝川駅付近を結ぶ「城北線

建設したのは「鉄道建設公団(当時)」

所有するのは「東海旅客鉄道株式会社」

運営するのは「株式会社東海交通事業

 

なんてことを、管理人は全く知らなかった。

 

 

都市部にあって、

全線連続立体の高架橋で踏切は一か所も無く

全線複線でロングレールが敷設されていながら

 

電化されておらず

ワンマンの気動列車1両のみの運転で

交通系ICカードも使えない。

6駅全てが無人駅である。

枇杷島駅の先は東海道本線に接続しているが

勝川駅の先は高架部も線路も途切れていて全くの「終着駅」となっている。

 

 

名古屋からJR東海道本線の各駅停車に乗って

岐阜方面に向かうと、最初の駅が「枇杷島びわじま)」

この枇杷島城北線の起点となる。

 

城北線の総延長は11.2km

城北線の六つの駅は、

枇杷島びわじま)

尾張星の宮(おわりほしのみや)

小田井(おたい)

比良(ひら)

味美(あじよし)

勝川(かちがわ)。

 

この間に、

JR東海道線、(枇杷島駅

名鉄犬山線、(上小田井駅

名鉄小牧線、(味美駅)と交差し

JR中央線 (勝川駅)とも近接しているのだが

枇杷島駅を除き、雨に濡れずに乗換えできる駅は一つもない。

媚びるところが全く無い。

 

上の画像の上下に分かれた線路は

現実は、その先で元に戻り平行して走るようになる。

上下に分かれる理由がわからない。

 

 

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  (外から見た終点「勝川駅」への階段。 無人駅なので改札口がない)
 

 

 

 謎解きの鍵は、複雑な権利関係とその当時の鉄道状況にあるようだ。

 

第一に、城北線の当初計画の目的は旅客輸送ではなく貨物輸送であったこと 

 

1962年(昭和37年)、貨物輸送を主たる目的として

国鉄岡多線(岡崎ー多治見)とともに

国鉄瀬戸線(瀬戸~高蔵寺、勝川~稲沢)が計画された。

1976年(昭和51年)、鉄道建設公団(当時)により勝川~稲沢間着工。

 

第二に、着工したものの、国鉄改革の影響で、国鉄としては完成・開通させることが出来なくなったこと。

 

岡多線は、国鉄ではなく愛知県を中心とする三セクの「愛知環状鉄道」を立ち上げ

岡崎~豊田~高蔵寺が1987年(昭和62年)に開通した。

一方、国鉄瀬戸線は勝川~小田井間と

連絡線である小田井~枇杷島の間が

完成間際の状態のまま凍結されていた。

 

第三に、国鉄民営化後、瀬戸線JR東海の所有となり、JR東海

鉄道建設公団の権利・義務を引き継いだ「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に

ひたすら建設費を分割で支払っていること。

 

そこで、負担している建設費の一部でも回収すべく

ミニマムコストでの運用を計画。

JR東海(株)の子会社である「株式会社東海交通事業」に第二種免許を取得させ

勝川~稲沢ではなく勝川~枇杷島間を旅客鉄道として開通したと思われる。

 

しかし、鉄道運輸機構への建設費延払い(賃料)が完了するまでは実質赤字続きだ。

 

延払い完了時期が近づくまでは、

中央線勝川駅接続のための高架部延長工事や

交差する他の路線の駅との接続工事や電化工事は、

赤字幅を拡大させるがゆえに実現困難だろう。

 

 

冒頭の写真は、勝川に向かう列車の後ろから枇杷島方向を写したものだが、

当初計画の稲沢に向かう本線と枇杷島に向かう連絡線の分離部が

こうした形で残っている。

左の線路が右の線路の下を通って稲沢に向かう計画だったというのが

左右の線路が上下に分かれている理由である。

現在は、その先で再び並行し枇杷島へと向かっている。

  

 

先ほど、城北線は全駅が無人駅と書いたが、

JR東海の幾つかの駅業務は「株式会社東海交通事業」が受託している。

枇杷島駅の改札業務は

東海交通事業の社員がJR東海の社員として行っているという

これまた複雑な形態になっているらしい。

 

 

最後に、1両単体で走るワンマンのディーゼル列車の画像を掲載します。

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 (列車内の様子)

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 城北線の歴史については、以下のサイトを参考にさせていただきました。

wv21.com